「クローゼットとマットレス」 スミルハン・ラディック+マルセラ・コレア展

「クローゼットとマットレス」 スミルハン・ラディック+マルセラ・コレア展
The wardrobe and the mattress by Smiljan Radic and Marcela Correa


会期:2013年9月4日(水)〜 11月30日(土) 月〜土曜 11:00〜20:00 (最終入場19:30) 日曜 11:00〜19:00 (最終入場18:30) 会期中無休 入場無料

会場:メゾンエルメス8階フォーラム(中央区銀座5-4-1 TEL: 03-3569-3300)

主催:エルメス財団


スミルハン・ラディック(1965年チリ、サンティアゴ生まれ、同市にて活動中)は、革新的動向を見せるチリ現代建築業界において、ひときわ注目を集める建築家です。
素材や環境を活かした建築を手掛ける一方で、マルセラ・コレア(1963年サンティアゴ生まれ、同市にて活動中)との協働により彫刻や映像作品も発表しています。
街中にふと出現し、また去っていくサーカス団のテントのように、簡素で痕跡をとどめない仮設建造物や束の間の隠れ家など、移ろいゆく環境と人間の営みへの哲学的な考察を提案しています。

今回の展覧会ではマルセラ・コレアと共に、クローゼットとマットレスという、二つの家具を題材とし、記憶の持つ領域を象徴的に表現する作品を制作します。

クローゼットには、私たちの持ち物、過去、思い出などが収められています。扉で隔てられたその内部には、ハンガーにかけられた洋服たち、
それらは持ち主の身体の一部として主の記憶を宿しています。
マットレスは、身体を横たえる人のあらゆる動きを柔軟に受け止め、眠る人を夢という異次元へと誘います。その無防備なやさしさは、私たちの身体を記憶し続けます。

私たちを外界から守るために、巨大化してしまったクローゼット。まるで記憶を取り出して形にしたかのようなマットレスの彫刻。その謎めいた組み合わせは、異質さとともに、
日常の奥に押しやられていた記憶を呼び起こし、その領域が不意に可視化する瞬間を思わせます。ラディックとコレアは、現実を作り上げている時間たちを、
この二つの家具を変形させることで、フォーラムという舞台に取り出して見せているようです。

また本展示では、上記のインスタレーションに加え、街中に存在する脆弱な建築「Fragile Construction」の写真をシリーズとして紹介します。

隠れ家のように質素でありながらも親密な空間、あるいは常に移ろいゆくはかなき構造体、どちらもラディックとコレアが問いかける記憶の領域を獲得するための方法論といえるでしょう。